著作権にまつわるあれこれ~クラシック音楽編~Vol.1

こんにちは!

ブログにお越しくださりありがとうございます。

 

今回は以前こちらの記事

concertdesigncantabile.hatenablog.com

で触れた、著作権団体への許諾申請及び著作権にまつわる内容でよく誤解されていることについて3選、解説していきたいと思います。

またこの記事は音楽に関する著作権の中でも主にクラシック音楽日本国内で演奏をする際の注意点をピックアップしております。

著作権の消滅した作品のことをパブリックドメイン「P.D.作品」と表記しております。

パブリックドメイン - Wikipedia

 

1、~クラシック音楽だから使用申請をしなくても大丈夫~(誤)

クラシック音楽でも著作権の切れていない作品はたくさんあります。

作曲者の死後70年(2018年12月29日までは死後50年)を過ぎていない作品に関しては許諾申請が必要です。

※歌曲については作詞者の著作権も消滅していないか調べるようにしましょう。

 

いやいや、そんなこと知ってるよ!という方でもよく見落としがちなケースがこちら↓です。

例としてベートーヴェンラフマニノフ、その他P.D.作品の編曲版を演奏する場合です。

この場合は編曲者に著作権が発生しますので編曲者の死後年数を参照しましょう。

~作品例~

ベートーヴェン(リスト編曲)交響曲

(ベートヴェンの作品もリストの作品もP.D.であるので自由に演奏可能)

×ラフマニノフ(コチシュ2016年11月6日没)編曲の歌曲「ヴォカリーズ」

(ラフマニノフの作品はP.D.であるがコチシュの作品に関しては著作権の保護期間中のため使用許諾が必要)

また著作権の切れていない作品に関しては無許諾での編曲はできません。

 

2、~入場料無料のコンサートだから申請の必要はない~(誤)

こちらもよく誤解されているのですが、入場料が無料であっても演奏者に出演料が支払われる場合は許諾申請が必要になります。

 

3、~許諾申請は全てJASRACにすれば大丈夫~(誤)

音楽の著作権の話題になるとよく名前が出てきますので普段P.D.作品のみを演奏される方でもJASRACをご存じの方も多いと思います。

なのでとりあえず著作権が切れていない作品の場合JASRACに申請したらいいのかな...?と思う方も多いと思います。

一般社団法人日本音楽著作権協会 JASRAC

現在JASRACは大多数の音楽作品の著作権を管理しており、クラシック音楽の作品もその多くが登録されていますが、作曲家が直接権利を管理している作品やその他の著作権管理団体や出版社等が直接権利を管理している作品もあります。

このような作品については権利者へ直接使用許諾を得る必要があります。

また、編曲の許諾も管理団体ではなく権利者へ直接確認を取る必要があります。

 

新型コロナウイルスの影響により、コンサートを有観客+配信もしくは無観客配信でされる方も増えたと思います。

この「配信」に関しては特に注意が必要で、

聴衆を相手に実演する「演奏」とインターネット上で音楽を「配信」することに関しては別々に使用許諾を得る必要があり、「演奏」の権利はJASRACが管理しているが「配信」の権利は別団体や個人が権利を管理しているケースも多数見受けられます。

最近はYouTubeをはじめとして有料での配信が可能なツイキャスhttps://twitcasting.tv/

その他SNS等を利用した配信の機会も増えておりますので必ず確認してから行うようにしましょう。

※配信に関しては無料有料を問わず無許諾の配信はNGとなっております。

Youtube等、著作権団体と包括契約を結んでいるところで配信する分には大丈夫って聞いた(見た)けど...

という意見を耳にすることも多いのですがあくまで包括契約を結んでいる団体がその作品の「配信」の権利を管理しているかどうかがポイントになります。

「配信」の権利を管理している場合は演奏者側で新たに申請をする必要はありません。

 

4、おまけ

クラシック音楽を演奏(練習)する際に必ずといってよいほど必要になるのが楽譜ですが、その楽譜のコピーに関して楽譜コピー問題協議会(CARS)及び日本楽譜出版協会のQ&Aのリンクを↓に記載しておきます。

楽譜のコピーに関するQ&A | 楽譜コピー問題協議会(CARS)

よくあるご質問 | 一般社団法人日本楽譜出版協会

ご参考になりましたら幸いです。

 

5、さいごに

今回取り上げた内容は演奏会を開くために絞ったごくわずかな部分であり、他にも著作権について勉強しなけらばならないことはたくさんあります。また著作権法が定められたころと現在とではSNSの普及等環境が大きく変わっており、見直しが必要なんじゃないかなあ...と思うこともあります。

また、演奏する側としては著作権の有無にかかわらず、人の作品を扱っているという意識を忘れないようにしたいですね!

 

最後までお読みいただきありがとうございました!

 

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